【図解】お礼の熨斗（のし）の書き方は？ 表書き・水引・シーン別マナーを解説
WANTO編集部お世話になった方へお礼の品を贈る際、のしのマナーで悩んだ経験はありませんか。表書きは「御礼」でいいのか「謝礼」を使うべきか、水引は紅白の蝶結びか結び切りか、内のしと外のしはどちらを選ぶべきかなど、判断に迷うポイントがたくさんあります。
この記事では、お礼に使うのしの基本マナーから、結婚・出産・お見舞いなどシーン別の書き方まで詳しく解説します。のし飾りをつけてはいけないケースや、避けたほうがよい贈り物、渡すタイミングなど、知っておきたい注意点もまとめました。
正しい知識を身につけて、のしの書き方に迷わず、気持ちよく感謝を伝えられるようになりましょう。
お礼に使うのし（熨斗）の基本
のしは、日本の贈答文化に欠かせない飾りです。のしの由来は、古くから縁起物とされてきた「のしあわび（熨斗鮑）」にあります。あわびの肉を薄く削いで引き伸ばし、乾燥させたものがのしあわびで、長寿や繁栄の象徴として神社への献上品や贈り物に添えられていました。
現在は本物のあわびを使うことはなく、のしあわびを簡略化した飾りを印刷した「のし紙」が一般的です。のし紙には、こののし飾りと水引（紙紐の装飾）がセットで印刷されています。
お礼でのし飾りをつけてはいけないケース
のし飾りは縁起物のため、すべての贈り物に適しているわけではありません。「引き伸ばす」ことを連想させるのし飾りは、病気や不幸が長引くことを暗示してしまうため、使用を避けるべき場面があります。
弔事（葬儀関係）のお礼
弔事や法事のお礼では、のし飾りのついていない掛け紙を選びます。通夜や葬儀、法要などに関するお礼や香典返しでは、弔事用の水引（黒白や双銀など）を使用した掛け紙が適切です。
のしは慶事を象徴する飾りのため、悲しみの場面には適しません。また、仏教では生ものをお供えしてはいけないという決まりがあり、生ものの象徴であるのしあわびは仏前にもふさわしくありません。
葬儀関係でお世話になった方への謝礼は、表書きを「御礼」とします。香典をいただいた際のお返し（香典返し）は、「志」または「粗供養」とします。
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災害見舞いのお礼
災害に見舞われた際にお見舞いをもらった場合、本来お返しは不要とされています。相手の好意をそのまま受け取り、まずはお礼状や言葉で感謝を伝えるのが一般的です。
どうしてもお礼の品を贈りたい場合は、菓子折りや地元の特産品など、負担になりにくい品物を選びます。のし紙をつけるときは、派手なのし飾りや水引は避け、無地の掛け紙に「御礼」とだけ記すなど、控えめな仕様にするとよいでしょう。
病気見舞いのお礼
病気やケガが全快してお礼を贈る場合は、のし飾りの付いたのし紙を使います。水引は「重ねてほしくない」という意味を持つ紅白の結び切りを選びます。表書きは、全快なら「快気祝」、通院が続く場合は「快気内祝」または「御見舞御礼」とします。
注意が必要なのは、お見舞いの品を贈るときです。お見舞い品にはのし飾りのない掛け紙を使います。「のし」が病気を延ばすことを連想させるためです。この場合は、紅白の結び切りなど水引のみの掛け紙が適しています。
お礼の熨斗（のし）の選び方
お礼を贈る際には、水引の結び方や表書きの選び方、名前の書き方など、守るべきマナーがあります。ここでは、お礼の品に使用するのしの基本的な選び方を解説します。
水引の選び方
水引とは、のし紙についている紙紐の飾りのことで、贈り物の目的によって結び方や色が変わります。
蝶結び（花結び）は、何度繰り返してもよいお祝いやお礼に使います。紐を解いて何度でも結び直せることから、「何度あっても嬉しい」という意味が込められています。出産祝いのお返しや引っ越しの挨拶、日常的なお礼の品などに適しています。一般的なお礼には、紅白または金銀の蝶結び（5本または7本）を選びます。
結び切りは、一度きりの出来事や繰り返してほしくない出来事に使います。一度結んだらほどけないことから「二度と起こらないように」という願いが込められています。結婚祝いのお返しや病気見舞いのお礼（快気祝い）、弔事のお礼などに用います。水引の色は、慶事には紅白または金銀、弔事には黒白や双銀を使用します。
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御礼ののしの表書きの書き方
表書きとは、のし紙の上部（水引の上）に書く言葉のことで、贈り物の目的を示します。
御礼（おれい）
御礼は最も幅広く使える表書きで、日常のお礼全般に適しています。何かを手伝ってもらった時や、教えてもらった時など、感謝を伝えたい場面で使います。また、葬儀関係でお世話になった相手へのお礼にも「御礼」を用います。この場合は、黒白や双銀の結び切りの水引を使います。
結婚や出産などのお祝いへのお返しでは、通常は「内祝」を使いますが、相手が喪中で「祝」の字を避けたい場合は「御礼」を選ぶとよいでしょう。
謝礼
謝礼は、感謝の意を込めて金品を贈る際に使用する表書きです。仕事を手伝っていただいた方や、何か教えていただいた方への感謝の気持ちを表します。御礼よりもややフォーマルな印象を与えるため、講師や専門家への謝礼金などに適しています。
粗品（そしな）
粗品は、気軽なお礼や挨拶の品に使用する表書きです。引っ越しの挨拶や、ちょっとしたお礼の品を渡すときに適しています。「粗末な品」という謙遜の意味が込められているため、高価な贈り物や特別なお返しにはあまり向きません。
寸志（すんし）
寸志は、「わずかな志」という意味を持つ表書きで、目上の立場にある人が目下の人へ少額の金品を贈るときに使います。上司から部下へ、先輩から後輩へなど、立場が上の人から下の人へのお礼に用いるのが基本です。目下の人が目上の人に対して使う言葉ではないため、その場合は「御礼」などを使います。
薄謝（はくしゃ）
薄謝は、「ささやかな謝礼」という意味の表書きで、謝礼として品物や金品を贈るときに使います。寸志と同様に、立場や年齢が上の人から下の人へ贈るときに用いられる言葉です。目下の人が目上の人に贈るお礼には使わず、その場合は「御礼」などの表書きを選びます。
名前の書き方
名前は、水引の下、中央に贈り主の名前を記載します。個人で贈る場合はフルネームを、夫婦連名の場合は右側に夫、左側に妻の名前を書きます。3名までの連名であれば、右から地位や年齢が高い順に記載するのが一般的です。4名以上の場合は、代表者の名前を中央に書き、その左側に「外一同」と添えます。
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内のしと外のしの使い分け
内のしは、品物に直接のし紙をかけ、その上から包装紙で包む方法です。のし紙が外から見えないため、控えめに贈りたいときに向いています。郵送で送る場合も、のし紙が破れたり汚れたりしにくいという利点があります。
外のしは、包装紙の上からのし紙をかける方法です。のし紙が目に入りやすいので、贈る目的や贈り主をはっきり示したいときに向いています。品物を直接手渡しする場合に使われることが多い方法です。
【シーン別】お礼の熨斗（のし）の書き方
お礼として品物を贈るときは、のし紙をかけるときちんとした印象になります。ただし、結婚や出産など大きなお祝いへのお返しは、一般的な「御礼」とは違い、場面に合った水引や表書きを選ぶ必要があります。
結婚祝いのお返し（結婚内祝い）
結婚は「一度きりであってほしい」お祝いごとなので、水引は結び切りを使います。色は紅白や金銀などが多く、夫婦の結びつきを表す10本の水引が一般的です。
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 水引の結び方 | 結び切り（固く結ばれて離れない、二度と繰り返さないという意味）。蝶結びはNG。 |
| 水引の本数・色 | 紅白、金銀、赤金などが用いられ、本数は偶数の10本が一般的。10本は「夫婦は二人で一つ」という意味で5本を二つに合わせたもの。贈り物の金額によっては7本にすることもある。 |
| 表書き | 「寿」または「内祝」が一般的。結婚式当日の引き出物には「寿」、後日送る内祝いには「内祝」と区別することが多い。 |
| 名入れ | 新姓だけで書くか、夫婦の名前を連名で記入する。 |
| のしのかけ方 | 控えめな表現となる内のしが適している。内祝いは、お祝いの幸せを周囲におすそ分けするという意味合いがある。 |
出産祝いのお返し（出産内祝い）
出産や子どもの成長にともなう行事は、何度繰り返しても良いお祝い事とされるため、蝶結びの水引を使用します。
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 水引の結び方 | 蝶結び（または花結び）。何度でも繰り返したいお祝い事に用いる。 |
| 水引の本数・色 | 紅白5本が基本。5本または7本。高額な場合は赤金も用いられる。 |
| 表書き | 「内祝」または「出産内祝」とする。 |
| 名入れ | 水引の下に子どものフルネームを記載し、ふりがなも添えるとなお良い。双子の場合は連名で書き記す。 |
| のしのかけ方 | 控えめな表現に感じる内のしが適切。 |
お見舞いのお礼（快気祝い・快気内祝い）
病気やケガのお見舞いへのお礼は、状況によって表書きを使い分けます。病気やケガが「重ねて起きてほしくない」という願いを込めて、水引は結び切りを使用します。
| 状況 | 表書き |
|---|---|
| 全快した場合 | 快気祝い/全快祝い/御見舞御礼 |
| 療養・通院を続ける場合 | 快気内祝い |
名入れは贈り主（病気やケガをした本人）のフルネームを記載します。
なお、お見舞いの品を贈る際には、「病気を延ばす」という印象を与えないようにするため、熨斗飾りのついていない掛け紙を使用してください。
お礼の品を渡す際の注意点
お礼の品を渡すときは、のしの書き方だけでなく、渡すタイミングや品物の選び方にも気をつけたいところです。相手に負担をかけず、気持ちよく受け取ってもらえるよう、基本的なマナーを押さえておきましょう。
渡すタイミング
感謝は早めに伝えるのが基本です。結婚や出産のお祝いに対するお返し（内祝い）は、お祝いを受け取ってから1か月以内が目安です。遠方で会えない場合は、郵送で問題ありません。品物と一緒にお礼状を添えると、より丁寧な印象になります。
1か月以上たってしまった場合は、先に電話や手紙でお礼を伝え、後日あらためて品物を贈るのがよいでしょう。ただし、相手が喪中・入院中などの場合は、タイミングや表書き、水引に配慮が必要です。たとえば、喪中の相手には「御礼」を使い、華やかな水引は避けるなど、状況に合わせた対応を心がけます。
避けたほうがよい贈り物
お礼や内祝いの品物を選ぶときは、縁起や相手への印象を考えて、避けたほうがよいとされる品物があります。
縁起が悪いとされる贈り物
刃物（ハサミ・包丁など）は「縁が切れる」ことを連想させるため、お礼やお祝いの品には向きません。
ハンカチは「手布（てぎれ）」とも書くことから、「縁が切れる」とされ、慶事のお返しでは避けるのが一般的です。
目上の人に避けるべき贈り物
靴や履物（靴下を含む）は「踏みつける」イメージがあるため、目上の人への贈り物としては不向きです。上司や恩師などへのお礼には選ばないようにします。
感謝の気持ちを込めて正しいマナーでお礼を贈ろう
お礼の品を贈る際には、のしの選び方や表書きの書き方など、守るべきマナーがあります。水引の結び方は、繰り返してほしいお祝い事には蝶結び、一度きりの出来事や繰り返してほしくないことには結び切りを選びます。表書きは、相手との関係性や贈る目的に応じて「御礼」「謝礼」「粗品」などを使い分けましょう。
お礼の品を渡すタイミングは、できるだけ早く、遅くとも1か月以内が目安です。相手の状況に配慮しながら、感謝の気持ちを込めて贈りましょう。
