【図解】のしの結び切りとは?蝶結びとの違い、結婚祝い・お見舞いでの使い方を解説
WANTO編集部結び切りは「一度きりであってほしい」という願いを表し、結婚祝いや快気祝い、弔事などに使われるのし(熨斗)の一種です。 「結び切りと蝶結び、どちらを使うべき?」と、いざという時に迷ってしまう方も多いのではないでしょうか。 のしのマナーを間違えてしまうと、せっかくの気持ちが正しく伝わらないことにもつながります。
この記事では、のしの基本から「結び切り」と「蝶結び」の正しい使い分けまで、図や一覧表を使ってわかりやすく解説します。
「のし」と「水引」とは?
多くの方がのしと呼んでいるものは、実はいくつかのパーツから成り立っています。

- のし(熨斗):右上にある飾りのこと。長寿や繁栄の象徴である「のしあわび」が由来です。
- 水引:中央で結ばれている飾り紐のこと。結び方や色で意味が変わります。
- 表書き:「寿」「御祝」など、贈り物の目的を書く部分です。
- 名入れ:贈り主の名前を書く部分です。
一般的に「のし」と呼ばれているものは、これらが印刷された掛け紙のことを指します。
水引は、人と人を結びつけるご縁の象徴とされており、品物が未開封であることを示す意味や、不吉なものを寄せつけない魔除けの意味も持っています。
なお、のしは祝い事につけるものであり、葬儀や法要などの弔事では、掛け紙は用いてものしはつけません。
結び切りとは?


結び切りは、一度結ぶと固く締まって簡単にはほどけない結び方です。
この形には、「同じことが二度と起きませんように」「これが最後でありますように」という願いが込められています。
蝶結びとは?

蝶結びは、簡単にほどいて何度も結び直せる結び方です。
そのことから、「喜びが何度でも繰り返されますように」という願いを込めて、出産祝いや入学祝いなど、何度あっても喜ばしいお祝い事に使われます。
【早見表】ひと目でわかる結び切り・蝶結びの使い分け

水引は、場面によって「結び切り」と「蝶結び」を使い分けます。お祝いの内容や目的によって意味が異なるため、間違えると失礼にあたります。
次の表で、結び方を確認しましょう。
| シーン | 表書きの例 | 水引の色 | 結び方 | 主な用途・意味 |
|---|---|---|---|---|
| 結婚祝い | 寿・結婚御祝 | 紅白(または金銀)10本 | 結び切り | 「一度きりで良い」永遠の縁を願う |
| 出産祝い | 御祝・御出産祝 | 紅白5本 | 蝶結び | 「何度あっても良い」喜びの繰り返しを願う |
| 快気祝い | 快気祝・全快祝 | 紅白5本 | 結び切り | 病気が二度と再発しないよう願う |
| 弔事(葬儀・法要) | 志・御霊前など | 黒白(または双銀) | 結び切り | 「不幸が繰り返されないように」願う |
結婚祝いは「紅白10本の結び切り」

結婚は人生で一度きりの大切な儀式です。そのため、二度と繰り返さないという意味を持つ結び切りが使われます。 水引は、お祝い事を表す紅白または金銀で、本数は10本が基本です。これは「5本の水引を2束合わせたもので、新郎新婦や両家が固く結ばれる」という意味が込められています。
出産祝い・入学祝いは「紅白5本の蝶結び」

出産や入学は、何度あっても喜ばしいお祝い事です。「喜びが何度も訪れますように」という願いを込めて、蝶結びを選びます。水引の色は紅白、本数は5本を使います。
快気祝いは「紅白5本の結び切り」


病気や怪我からの回復も二度と繰り返したくないことです。そのため、固く結ばれた結び切りを用います。
ここで一つ注意点があります。「退院祝い」では、右上の「のし飾り」がない掛け紙を選びます。「のし」の伸ばすという意味が「病気を伸ばす」ことに繋がるとされ、避けるのがマナーです。
「退院祝い」と「快気祝い」は混同しやすいため、確認しておきましょう。
- 退院祝い:周りの人が、退院した本人へ「おめでとう」の気持ちで贈るお祝い
- 快気祝い:入院していた本人が、お見舞いに来てくれた方へ「ありがとう」の気持ちで贈るお返し
贈る立場が逆になるので、表書きを間違えないように気をつけましょう。
弔事は「黒白または銀の結び切り」

お葬式や法事などの弔事では、「不幸が二度と繰り返されないように」という願いを込めて、結び切りを使います。水引の色は、悲しみを表す黒白や双銀が一般的です。関西など地域によっては黄白の水引が使われることもあります。
弔事の掛け紙は宗教や地域によっても異なるので、贈る前に必ず事前に確認することをおすすめします。
水引のマナー(本数・色・あわじ結び)
水引は、本数や色、結び方のバリエーションによっても意味合いが変わります。
本数による違い(5本が基本、10本は結婚祝いのみ)
水引の本数は、贈る相手への敬意や場の格式を表します。基本は5本ですが、目的によって7本や10本を使い分けます。
| 本数 | 用途の例 | 意味・特徴 |
|---|---|---|
| 5本 | 快気祝い・弔事など | 基本形。もっとも一般的に使われる形式 |
| 7本 | 目上の方への贈答・格式を重んじる場面 | 丁寧な印象を与える。より改まった場に適する |
| 10本 | 結婚祝い専用 | 両家が固く結ばれる意味。5本を2組重ねた特別な形 |
水引の色による違い
水引の色にも、慶事と弔事でそれぞれ意味があります。地域によっても異なるため、事前に確認しておくと安心です。
| 用途分類 | 色 | 主な使用シーン | 意味・特徴 |
|---|---|---|---|
| 慶事用 | 紅白 | 一般的なお祝い(出産・快気・新築など) | 喜びや祝福 |
| 慶事用 | 金銀 | 結婚・叙勲・格式高いお祝い | 高貴さ・格調高さ |
| 弔事用 | 黒白 | 関東地方の葬儀・法要 | 哀悼の意 |
| 弔事用 | 黄白 | 関西地方の葬儀・法要 | 黒の次に高貴な色とされる黄色 |
| 弔事用 | 双銀 | 高額香典・格式高い法要 | 慎ましさと敬意を込めた上位形式 |
華やかな結び方「あわじ結び」とは

「あわじ結び」は、結び切りの一種で、より華やかで美しい結び方です。 左右から引くとさらに固く結ばれることから「末永いご縁」を願う意味を持ちます。慶事の場にふさわしい縁起の良い水引として、特に結婚祝いなどで使われます。
関東では結婚祝いに、関西では慶弔問わず万能な結び方として使われることもあります。
結び切りを正しく使いこなそう
結び切りは、「一度きりであってほしい」という願いを込めた結び方です。
- 結び切り:結婚、快気祝い、弔事など「繰り返したくない」こと
- 蝶結び:出産、入学、長寿など「何度あっても嬉しい」こと
この基本さえ押さえておけば、もう贈り物選びで迷うことはありません。相手を想う気持ちを正しく形にして、感謝や祝福の気持ちを伝えましょう。