新築祝いにのし(熨斗)マナー|表書き・相手別の選び方・内外のしの基本を解説
WANTO編集部贈り物に添える「のし(熨斗)」には、基本マナーがあります。特に新築祝いでは、蝶結びののしを使い、表書きは「御新築御祝」など、決まった書き方があります。
この記事では、新築祝いに使うのしの種類や表書き・名入れの正しい書き方などわかりやすく解説します。
新築祝いには紅白蝶結びの「のし(熨斗)」が基本

新築祝いの贈り物には、紅白の蝶結びの「のし(熨斗)」を用いるのが一般的です。蝶結びは何度でも結び直せることから、「繰り返しても良いお祝い事」に使われる結び方で、新居の完成という門出を祝う場面に適しています。
のしの種類や意味など、基本的なマナーを詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。
のし(熨斗)の基本マナー|意味・由来・種類・現代マナーまで詳しく紹介
新築祝いの「表書き」の書き方
のし紙に書く「表書き」は、贈り物の目的や意味を表す大切な部分です。誤った表現を選ぶと相手に不快感を与えることもあるため、慎重に選びたいところです。
ここでは、よく使われる 「御新築御祝」「御新居御祝」などの表書きの違い や、名前の書き方について、わかりやすく解説します。
「御新築御祝」「御新居御祝」「祝御新築」の違い
新築祝いののし紙に書く「表書き」には、いくつかの表現があります。どれも新築祝いののしに使えるものですが、状況によって使い分けるのが基本です。
- 御新築御祝:新築された建物に対するお祝い。戸建て住宅や注文住宅に贈る場合に最も一般的に使われています。
- 御新居御祝:新築かどうかにかかわらず、新たに居住を始めた住まいへのお祝い。マンション購入や中古住宅のリフォーム後の入居、転居などにも適しています。
- 祝御新築:ややカジュアルで柔らかい印象のある表現。親しい友人や同僚など、かしこまりすぎない相手への新築祝いに向いています。
どれを選ぶか迷った場合は、戸建ての新築であれば「御新築御祝」を選べばまず問題ありません。ただし、マンション購入や中古住宅のリノベーションなど、状況に応じて「御新居御祝」なども使い分けると、より丁寧なお祝いになります。
新築祝いの名入れマナー
のし紙の下部には、贈り主の名前を記載します。ここにもマナーがあります。
- 個人で贈る場合:フルネームで記載(例:山田太郎)
- 夫婦で贈る場合:「山田太郎・花子」と並列、もしくは夫の名前のみを中央に記載し、左下に「内」と書くケースもあります。
- 家族で贈る場合:「山田家」や家族全員の名前を記載することも可能です。
なお、新築祝いののしは「誰からの贈り物か」がわかることが大切です。個人情報が気になる場合や、カジュアルなやり取りであっても、できるだけ名字や世帯主名だけでも記しておくと親切です。
連名や名前なしの場合
連名で新築祝いを贈る場合は、次のポイントを押さえておきましょう。
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3名までの場合:
名前を横一列に並べてフルネームで記載します。右側から目上(立場が上の人)→左側に向かって目下の順に配置するのが基本です。
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4名以上の場合:
すべての名前を書くと読みにくくなるため、代表者の名前を中央に書き、その左下あたりに「外一同」「有志一同」などと添えます。社内の有志やグループで贈る場合にも使える書き方です。
また、会社名義で贈る場合は、会社名(例:株式会社◯◯)のみを記載したり、会社名の下に部署名・代表者名(例:株式会社◯◯ 営業部一同/代表取締役 山田太郎)を併記したりするのが一般的です。
名前なしでのしを付けると、受取側が誰からのお祝いかわからず困る場合があります。最低でも会社名やグループ名だけでも記載することをおすすめします。
のしの連名の書き方について詳しくは以下の記事をご覧ください。
【早見表付き】正しいのし(熨斗)の連名は?書き方と正しい順番を解説!
新築祝いでのしが必要な理由
新築祝いは、新居の完成という人生の節目を祝う大切な贈り物です。日本の贈答マナーでは、このお祝いに心遣いと礼儀を添える意味で「のし(熨斗)」を付けることが基本とされています。
のしは本来、贈答品に添える装飾であり、「あなたのために心を込めて贈ります」という気持ちを表す役割があります。新築祝いでののしで使う蝶結びは、何度でも結び直せることから「繰り返しても良い慶事」に適した結び方です。
新築祝いでのしがなくても失礼にならないケース
新築祝いといっても、必ずしもすべての場面で「のし」が必須というわけではありません。相手との関係性や贈り方によっては、のしを省略しても失礼には当たらないケースもあります。
たとえば、次のような場合はのしを省略しても問題ありません。
- 親しい友人や家族同士で、カジュアルな雰囲気で贈る場合
- 電子ギフトや、オンラインショップから相手宅へ直接配送するギフトの場合
- 贈り物が簡易包装推奨の食品などで、パッケージデザインを生かしたい場合
のしを付けない場合でも、一言メッセージを添えるなど、気持ちを言葉で伝える工夫があると好印象でしょう。形式にこだわりすぎず、「おめでとう」の気持ちが確実に伝わることが大切です。
新築祝いでの内のし・外のしの使い分け
「内のし」「外のし」とは、のし紙のかけ方の違いを指します。
- 内のし:箱にのし紙をかけ、その上から包装紙で包む方法。のしが外から見えないため控えめな印象があり、宅配便で贈る場合や、さりげなく気持ちを伝えたいときに選ばれます。
- 外のし:包装紙の外側にのし紙をかける方法。誰からのお祝いかが一目でわかるため、手渡しの場面や職場関係の贈り物で選ばれることが多い方法です。
新築祝いでは、相手との関係性や贈る場面に応じて使い分けることが大切です。会社関係や目上の方へは「外のし」、親しい間柄では「内のし」が多いとされています。
新築祝いのお返しでのしを使う場合のマナー
新築祝いをもらった際には、感謝の気持ちを込めてお返しをするのが一般的です。お返しにも「のし」のマナーがあり、とくに「内祝」という表書きが使われます。
ここでは、内祝いでののしの正しい使い方や、相手に応じた配慮の仕方について解説します。
お祝いやお歳暮のお返しについては、こちらの記事でも解説しています。
「内祝」の表書きと名入れの基本
新築祝いをもらった側がお返しをする場合、「内祝」という表書きを使います。喜びのお裾分けとしての意味を持ち、感謝を伝えると同時に幸せをわかち合う意図が込められています。
- 表書き:「内祝」
- 名入れ:贈り主(新居を構えた本人)の名前。通常、子どもの誕生祝いと違い、夫婦連名または世帯主名が一般的。
この際ものし紙は内のしが基本です。贈る側が控えめに感謝の気持ちを表すため、包装紙の内側にのしをかけます。
商品券など金額がわかる品物ののしの注意点
新築祝いのお返しで、商品券や現金に近い金券類(ギフトカード・カタログギフトなど)を贈る場合、相手によっては「現金返し」と受け取られてしまう可能性があります。特に目上の方や企業関係の相手には注意が必要なため、以下のポイントに配慮しましょう。
- 商品券を避け、タオル・洗剤・菓子折りなどの実用品を選ぶ
- 金額がわかりにくい品物や包装を選ぶ
- のしを付けて形式を整え、失礼のない形にする
金券類を贈る場合も、のしで形式を整えるだけで印象が良くなるため、かならずのしを付けるようにしましょう。
会社・親戚・友人別の内祝いマナー
新築祝いのお返しでは、相手との関係性に応じた対応が求められます。
会社関係の場合は、高額なお祝いをいただくことも多いため、より丁寧な対応を心がけましょう。表書きは「内祝」、水引は紅白蝶結びを使用し、お礼状には部署名など具体的な関係性がわかる内容を添えるとより丁寧です。
両親や親戚や関係性が深い場合には、礼儀やしきたりを重視しつつ、好みや家族構成に合わせたギフト選びがポイントです。
友人の場合、気軽さと感謝のバランスが大切。菓子折りやタオルセットなど、カジュアルで実用的なギフトが好まれます。
失礼にならない新築祝いの熨斗で気持ちを伝えよう
新築祝いの「のし(熨斗)」は、単なる形式ではなく、贈り物に心を添える大切な文化です。適切なのし紙を選び、正しい書き方を押さえることで、相手に対する敬意や祝福の気持ちがより深く伝わります。
お返しにおいても、感謝の気持ちをしっかりと表現しながら、相手に負担を感じさせない気配りが重要です。