長寿祝いの熨斗(のし)の書き方は?表書き・内祝いからビジネスシーンのマナーまで解説

長寿祝いの熨斗(のし)の書き方は?表書き・内祝いからビジネスシーンのマナーまで解説

WANTO編集部

還暦や古希、喜寿などの長寿祝いのプレゼントを用意するときに悩みがちなのが熨斗(のし)です。

「のし紙は付けた方がいい?」

「表書きは「御祝」でいい?「祝還暦」の方が正しい」

「水引は蝶結び?結び切り」

「お返し(内祝い)にも、のしは必要?」

こういった細かいところで手が止まることは少なくありません。

長寿祝いは人生の節目を祝う大切な慶事だからこそ、のしの基本マナーを押さえておくと安心です。

この記事では、長寿祝いに使うのし紙の選び方、水引の種類、表書きの文言、名入れのルール、内祝い(お返し)のマナー、職場・法人での贈り方まで、長寿祝いとのしに関するポイントをまとめて解説します。

のし(熨斗)の意味や役割

のしは、もともと「のしあわび」が由来となる日本の贈答文化です。

昔は、あわびの身を薄く削いで伸ばし、乾燥させたものを祝い事の贈り物に添えていました。あわびは長寿や繁栄を象徴する縁起物とされてきたため、のしを添えることで「おめでたい気持ち」や「長く続くしあわせ」を願う意味が込められていました。

現在は、本物のあわびではなく、のしあわびを図案化した飾りを印刷したのし紙を使います。のし紙の右上にある細長い六角形のマークが、それにあたります。

のしについて詳しくは以下をごらんください。

【2025年版】のし(熨斗)の基本マナー|意味・由来・種類・現代マナーまで詳しく紹介

長寿祝いに「のし」が用いられる理由とは?

長寿祝いとは、人生の節目となる年齢を祝う慶事のことです。たとえば、還暦祝い(60歳)、 古希祝い(70歳)などが長寿祝いの一例になります。こういった祝いごとでは、日頃の感謝やこれからの健康を祈る意味合いが強いため、ただ贈るだけでなく、適切なマナーで贈る姿勢が大切になります。

のしをかけることで贈る気持ちを丁寧に見せたり、相手を敬う姿勢につながったりするため、長寿祝いにおいてものしは重要な役割となります。

長寿祝いの種類と意味

長寿祝いには、多くの種類があります。以下のようなものが代表的です。

なお、満年齢や数え年など、地域や家族の慣習によっても異なります。

  • 還暦(60 歳):十干十二支がひと巡りすることから「暦が還る」として祝います。
  • 古希(70 歳):中国・杜甫の詩「人生七十古来稀なり」に由来。
  • 喜寿(77 歳):「喜」の草書体が「七十七」と読めることから。
  • 傘寿(80 歳):「傘」の略字「仐」が「八十」と読めることから。
  • 米寿(88 歳):「米」の字を分解すると「八十八」となるため。
  • 卒寿(90 歳):「卒」の略字「卆」が「九十」となるため。
  • 白寿(99 歳):「百」から一を取ると「白」になるため。

それぞれの年齢で名称や由来が異なるので、正しく理解して贈ることで、より気持ちが伝わる祝い事になります。

長寿祝いの熨斗(のし)の書き方の基本

長寿祝いの熨斗(のし)の書き方

のし紙は、慶事用として一般的に用いられる「紅白」または「金銀」の掛け紙と「蝶結び(花結び)」の水引を選ぶのが基本です。

のしの上の表書きは「御祝」「寿」「祝〇〇(祝還暦・祝古希など)」が一般的です。

長寿祝いの水引は「蝶結び(花結び)」

水引には「蝶結び(花結び)」と「結び切り(本結び)」があります。蝶結びの水引は何度あってもおめでたい出来事に用いられ、長寿祝いも繰り返しお祝いできるよう願いを込めて用いられます。結び切りは「一度きり」に使われるため、長寿祝いでは避けるのが一般的です。

また、水引の色は「紅白」または「金銀」を選びましょう。

表書きに書く言葉一覧

長寿祝いののし紙に書く表書きは、贈る相手の年齢やお祝いの種類に合わせて選びます。代表的なものは次の通りです。

  • 還暦:祝還暦、還暦御祝、寿還暦
  • 古希:祝古希、古希御祝
  • 喜寿:祝喜寿、喜寿御祝

基本的には、どの年齢の長寿祝いでも使える 「御祝」 を選べば失敗がなく安心です。より丁寧に伝えたい場合や、お祝いの内容を明確にしたい場合は、年齢に合わせた言葉を選ぶとよいでしょう。

なお、表書きが 四文字 になると「死文字」を連想させるとして避けられることがあります。気にする方もいるため、相手の家族の価値観や地域性を考慮しながら選ぶとよいでしょう。

のし紙の下段には、贈り主の名前を 楷書体・濃い墨で丁寧に 記入します。複数人の連名にする場合は、年齢や立場が上の人から右側に並べるのが一般的なルールです。

のしの連名の書き方について詳しくは下記の記事をごらんください。

【早見表付き】正しいのし(熨斗)の連名は?書き方と正しい順番を解説!

のしをかけるべきでない場合は?

長寿祝いであっても、状況によってはのしを省略することがあります。

  • 親しい相手へ、気軽な「ありがとう」を伝えるだけの贈り物
  • すでに贈り物自体が華やかに包装されており、のしを重ねるとくどく見える場合

相手が形式を大切にする人である場合や目上の方の場合は、のしをつけておくほうが安心です。

内のし・外のしの違いと使い分け方

内のし・外のし

「内のし」と「外のし」をどちらにするか選ぶときは、贈る場面などで判断します。

  • 外のし(そとのし):包装紙をかけた後、その上からのし紙をかけます。贈る意図を明確に見せたい、祝いの気持ちをはっきり伝えたい場合に適しています。
  • 内のし(うちのし):品物をのし紙で包んだ後、その上から包装紙をかけるスタイル。目立たせたくない・控えめに贈りたい場合に便利です。親しい間柄や、配送で包装表面が汚れやすい場合などにも使われます。

郵送・持参・宅配時の選び方

郵送や宅配で贈る場合は、配送中にのし紙がこすれたり折れたりすることがあるため、内のしにしておくと安心です。のし紙が包装紙の内側に入るため、見た目も傷みにくくなります。

直接手渡しする場面では外のしのほうが丁寧な印象になります。表書きがよく見えるため、「長寿祝いとして贈ります」という気持ちが伝わりやすいのが特徴です。

長寿祝いのお返しにも熨斗(のし)が必要?

長寿祝いに明確なお返しの決まりはありません。遠方の親戚や仕事関係の方からお祝いをもらった場合は、感謝の気持ちを形にする意味でお返しを贈るケースが多いです。

お返しでものしをつけて贈ると丁寧な印象になり、気持ちも伝わりやすくなります。お返しをしないからといって失礼になるわけではないので、家族の方針や相手との関係性に合わせて決めましょう。

お返しに適した表書きと水引

お返しに使うのし紙は、紅白の蝶結びが基本です。表書きは「内祝」など控えめな言葉がよく使われます。

法人・職場関係の長寿祝いの熨斗(のし)のマナー

ビジネスシーンでは、個人の贈り物よりも 丁寧さ・形式 が重視されます。派手になりすぎない包装を選び、のしは外のしを使うのが一般的です。表書きは「祝御長寿」「寿」などが無難です。

贈る時期は、誕生日や節目の日の前後に余裕をもって手配すると、落ち着いた印象になります。

のしと表書きの書き方

ビジネスシーンで贈る長寿祝いの表書きでは、以下のようなものが適しています。

  • 祝御長寿
  • 御祝
  • 祝長寿御祝

などです。

部署名・役職名を記入することもありますが、省略しすぎないように注意します。連名で贈る場合は、「○○会社 △△課一同」といった書き方が一般的です。

失礼にならないための注意点

ビジネスシーンで意識すべきなのは、年齢を強調しすぎないことです。場合によっては「長寿」という表現が強く感じられることがあるため、メッセージを添えるときは、以下のような前向きな言葉を選ぶと良い印象になります。

  • 益々のご健康をお祈りします
  • これからもご活躍を楽しみにしております

長寿祝いには正しいマナーで熨斗(のし)を活用しよう

長寿祝いにのしをつけるのは、相手を敬い、祝福する気持ちを形にするための大切なマナーです。

紅白の蝶結び、適切な表書き、内のし・外のしの使い分けを押さえておけば、どの場面でも安心して贈ることができます。

お返しや職場関係の贈り物でも、こうした基本を知っておくと、丁寧さが伝わりやすくなります。大切な相手へ感謝や敬意を伝えるために、ぜひ上手にのしを活用してください。

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