【図解】快気祝いの熨斗(のし)の書き方は?水引・表書きの基本から状況別のマナーまで解説
WANTO編集部「快気祝いには熨斗(のし)はつけるべき?」と迷ったことはありませんか。
快気祝いとは、病気やケガから回復したことを、お見舞いにきた方々へ報告し、療養中にもらった励ましや支援に対する心からの感謝を伝えるものです。
大切な贈り物を相手に届ける際、品物にかける「のし紙」は、感謝の気持ちを正式かつ丁寧に伝えるために欠かせません。
この記事では、快気祝いののしに関する基本マナーから、回復状況に応じた表書きの使い分け、相手別の贈り方まで、実践的なポイントをわかりやすく解説します。
【図解】快気祝いの熨斗(のし)の基本マナー

快気祝いのような改まった贈り物では、品物にのし紙をかけること自体が礼儀とされ、「きちんとした形でお返しします」という気持ちを表す役割があります。
水引の結び方や名前の書き方には、「病気やケガが二度と起きないように」という願いが込められていて、快気祝いならではの決まりです。
ここでは、失礼のない快気祝いを贈るために覚えておきたい4つの基本マナーを紹介します。
水引は「紅白5本の結び切り」を選ぶ

快気祝いには、紅白5本または7本の結び切りの水引を使用します。7本の水引は5本よりも丁寧な結び方で、目上の方や特にお世話になった方への贈り物に選ばれることが多い結び方です。結び切りは「一度きりであってほしい」という意味を持ち、病気やケガが再び繰り返されないようにという願いが込められています。
反対に、蝶結び(花結び)は何度でも結び直せることから、出産や進学など「繰り返しても良いお祝い」に使われます。快気祝いに蝶結びを使うと「また病気になっても良い」という意味になってしまうため避けるのが一般的です。
結び切りについて詳しくは以下の記事をごらんください。
【図解】のしの結び切りとは?蝶結びとの違い、結婚祝い・お見舞いでの使い方を解説
名前(のし下)は回復した本人の苗字を書く

のし下(水引の下)には、病気やケガから回復した本人の名前を書きます。基本は苗字だけで構いませんが、フルネームにしても問題ありません。同じ苗字の親戚へ贈る場合など、誰から届いたか分かりづらいときはフルネームのほうが親切です。
職場の方へ贈る場合に社名や肩書を添えたいときは、名前の右側に小さめの字で「株式会社○○ 田中太郎」のように書き添えると、ひと目でわかりやすくなります。
「内のし」と「外のし」を使い分ける

快気祝いでは「内のし」がよく使われます。内のしは、品物にのし紙をかけ、その上から包装紙で包む方法です。お見舞いのお礼や回復の報告といった控えめな気持ちを伝える場面に合っているため、快気祝いではこの形が選ばれることが多くあります。
郵送や宅配で送る場合も、のし紙がこすれたり破れたりしにくい内のしが安心です。
一方で、直接手渡しする場合は「外のし」にすると、表書きが見えるため目的が伝わりやすいという利点があります。場面に迷ったときは、控えめで失礼のない内のしを選べば安心です。
毛筆または筆ペンで書く
表書きや名入れを書くときは、本来は黒墨の毛筆を使うのが正式です。ただし、日常の贈答では筆ペンやサインペンでも問題ありません。
ボールペンは簡易的な印象が強く、改まった贈り物には不向きとされているのでできるだけ避けてください。
「快気祝」「快気内祝」正しい表書きの使い分け
快気祝いを贈る際、のし紙の表書きは回復状況によって使い分ける必要があります。「快気祝」と「快気内祝」は似た言葉ですが、実は完治しているかどうかで使い分けるのが正しいマナーです。
快気祝
病気やケガが完全に治癒し、通院の必要もなく全快した際に使用します。「すっかり元気になりました」という報告を兼ねて、お見舞いへのお礼を兼ねています。
快気内祝
退院はしたものの、通院やリハビリが続いている場合に使います。完治ではないため、「ひとまず退院しました」という内々のお礼として贈る場面で選びます。
また、入院が長引いているときや、回復の見通しがまだ立たない場合は、御見舞御礼を使います。完治していない状況でも幅広く使える表書きで、「お見舞いへの感謝」を伝えることに適しています。
| 回復状況 | 表書き | 使用する場面 |
|---|---|---|
| 完全に治癒 | 快気祝・全快祝 | 病気・ケガが完治し、通院の必要もなく全快した場合。「元気になりました」という報告とお礼を兼ねて贈る |
| 退院したが通院中 | 快気内祝・退院内祝 | 退院はしたが、まだ通院やリハビリが必要な場合。「ひとまず退院しました」という内々のお祝いとして贈る |
| 療養継続中・判断に迷う場合 | 御見舞御礼 | 入院が長引いている場合や、全快の見通しが立たない場合。どのような状況でも使える表書き |
【相手別】快気祝いの「のし」と贈り方の注意点
快気祝いは、お見舞いをしてくれた相手へ感謝を伝える大切な贈り物です。基本マナーは同じでも、誰に贈るかによって適した品物や渡すタイミングは変わります。
ここでは、職場と友人に贈る場合のポイントを紹介します。
職場(上司・同僚)へ贈る場合
職場への快気祝いは、職場復帰の当日に持参するのが一般的です。休職中にご迷惑をおかけしたことへのお詫びと、お見舞いへの感謝を直接伝えながら渡しましょう。
贈り物の選び方
部署やチーム全体に配りやすい、個包装のお菓子やコーヒーなどが最適です。お見舞いをもらっていない場合も「ご迷惑をおかけしました」の意味を込めて、簡単な菓子折りを配る場合があります。その場合はのしは不要です。
友人へ贈る場合
友人への快気祝いは、形式よりも相手の好みを考えた品選びをしましょう。
贈り物の選び方
健康志向の友人には自然素材の食品、趣味のある友人にはデザイン性のあるギフトなど、相手に合わせて選ぶと喜ばれやすいです。好みがわからない場合はカタログギフトも便利です。
のしと合わせて確認したい快気祝いのマナー
快気祝いを贈るときは、のしだけでなく、贈る時期・品物選び・メッセージの添え方といった基本的なマナーにも注意する必要があります。
ここでは、特に押さえておきたいポイントをまとめます。
贈る時期は退院後10日〜1ヶ月が目安
快気祝いを贈るタイミングは、退院後10日〜1ヶ月が一般的です。退院してしばらくすると生活が落ち着き、贈り物を準備する余裕が出てくる頃合いです。体調が整っていれば、10日より早く贈っても問題ありません。
1ヶ月を過ぎると遅く感じられることがあるため、時期がずれた場合は一言添えると丁寧です。退院直後は体力が戻りきっていないこともあるため、無理をせず、体調を優先して準備を進めましょう。
品物選びは「消えもの」が無難
快気祝いでは、「病気やケガを後に残さない」という願いを込めて、食べ物や消耗品といった「消えもの」が好まれます。消えものとは、使ったり食べたりすることで消えてなくなる品物を指します。
具体的には、お菓子やコーヒー、ジュースなどの食品が定番です。また、洗剤や石鹸、タオルも消耗品として人気があります。形に残る雑貨や置物などは、「病気が残る」ことを連想させるため避けた方が無難です。
相手が喜ぶものを選びつつ、こういった縁起の意味も考慮して品物を選びましょう。
【文例付き】感謝を伝える挨拶状・メッセージの書き方
品物に添える挨拶状やメッセージカードは、感謝の気持ちをより明確に伝える役割があります。あらたまった相手には正式なお礼状を、友人や家族など身近な相手にはシンプルなメッセージカードでも十分です。
挨拶状には、次の4点を入れると伝わりやすくまとまります。
- お見舞いへの感謝:「このたびはお見舞いをいただき誠にありがとうございました」
- 退院の報告と現在の容態:「おかげさまで○月○日に退院し、順調に回復しております」
- 今後の抱負:「今後は健康管理に気をつけてまいります」
- 結びの挨拶:「今後ともよろしくお願いいたします」
メッセージ文例①(改まった相手向け)
拝啓
○○の候 ○○様にはご健勝のこととお慶び申し上げます。
このたびは入院中にお見舞いをいただき、誠にありがとうございました。おかげさまで○月○日に無事退院し、現在は自宅で療養しております。今後は健康管理に十分気をつけてまいります。
今後ともよろしくお願い申し上げます。
敬具
メッセージ文例②(友人・家族向け)
先日はお見舞いに来てくれてありがとう。おかげさまで無事に退院できました。これからは体に気をつけて過ごすね。また元気な姿で会いましょう!
快気祝いのマナーを押さえて感謝を伝えよう
快気祝いは、回復の報告とお見舞いへの感謝を形にする贈り物です。
紅白の結び切り、水引の下に本人の名前、控えめな内のしが基本のマナーになります。表書きは回復状況に合わせて選び、相手に負担のない「消えもの」を中心に品物を選ぶと安心です。短いメッセージを添えるだけでも気持ちがより伝わります。
シンプルなポイントを押さえて、失礼なく心のこもった快気祝いを贈りましょう。