七五三の熨斗(のし)の書き方とは?水引・表書き・名入れのマナーを場面別に解説
WANTO編集部七五三のお祝いを用意するとき、「のし袋の書き方はこれで合ってる?」「初穂料の表書きは?」「お祝いと内祝いで違うの?」など、細かなマナーで手が止まる方は少なくありません。特に七五三は、お祝い・初穂料・内祝いの3つの場面でのしの書き方が変わるため、毎回迷ってしまうという声も多い行事です。
この記事では、七五三ののしの水引の選び方、表書きの種類、名入れのルール、お祝い金の相場まで、七五三ののしに関するマナーをすべて網羅しました。子どもの成長を祝う大切な節目だからこそ、正しいマナーで心のこもったお祝いを贈りましょう。
七五三の熨斗(のし)のルール

七五三では、お祝いを贈るとき、お祝いのお返し(内祝)を贈るとき、そして神社へ初穂料を納めるときと、さまざまな場面でのし袋やのし紙が必要です。
水引は「紅白の蝶結び」を選ぶ
七五三では、お祝い・初穂料・内祝い のいずれの場合も、水引は紅白の蝶結び(花結び)を使用します。蝶結び(花結び)は、両端を引くとほどけて何度でも結び直せることから、七五三のように「何度あっても嬉しいお祝い事」に使用される水引です。
なお、結び目がほどけにくい「結び切り」は、結婚祝い や快気祝いなど「一度きりであってほしい」お祝い事に使われるため、七五三には不適切です。
のし袋やのし紙を選ぶ際は、水引に必ず紅白の蝶結びがついているものを選びましょう。
七五三の熨斗(のし)表書き一覧
七五三のお祝いを贈る際、のし袋やのし紙の表書き(水引の上に書く文字)は、子供の年齢に応じて使い分けます。全年齢(三歳・五歳・七歳)に共通して使える表書きは、「七五三御祝」「御祝」「祝七五三」です。
七五三御祝

3歳・5歳・7歳のいずれのお祝いにも使える、最も一般的な表書きです。
また、「御祝」「祝七五三」も同様に全年齢に対応できる表書きです。どの年齢の子供にも失礼なく使えるため、迷った場合はこちらを選べば間違いありません。
七五三おめでとう(子どもに直接お祝いを渡す場合)
祖父母や親戚が子供本人に直接渡すお祝いには、親しみやすい「七五三おめでとう」という表書きも使えます。堅苦しい表現よりも、子供が読んでわかる優しい言葉でお祝いの気持ちを伝えたい場合に適しています。
年齢別に使う伝統的な表書き
七五三には、子どもの年齢に由来した伝統的な表書きがあります。現代では「七五三御祝」「御祝」が最も一般的ですが、丁寧に贈りたい場合や、伝統を重視するご家庭への贈り物ではこれらの表書きも使われます。
髪置御祝(かみおきおいわい)
3歳の男女に贈る場合に使用する表書きです。髪を櫛でとき分けて伸ばし始める宮中の「御髪置きの儀」に由来しており、3歳になると髪を伸ばし始めることから、このお祝いの言葉が使われるようになりました。「賀御髪置」「祝御髪置」と書くこともあります。
袴着祝(はかまぎいわい)
5歳の男の子に贈る場合に使用する表書きです。5歳の男児が初めて袴を着る「御袴着の儀」に由来しています。武家社会から広まった儀式で、男の子の成長を祝う意味が込められています。「御袴着御祝」「賀御袴着」と書くこともあります。
賀御帯解(おんおびときをがす)
7歳の女の子に贈る場合に使用する表書きです。子供着の付け紐から正式な帯に変える「御帯解きの儀」に由来しており、女の子が大人の装いに近づく成長の節目を祝う意味があります。「御帯解御祝(おびときおいわい)」「祝御帯解(が・おんおびとき)」と書くこともあります。
【ご祈祷を受ける場合】初穂料の「のし袋」の書き方

神社で祈祷を受ける際には、謝礼として「初穂料」を納めます。初穂料とは、神様への感謝の気持ちを込めてお渡しする祈祷料のことです。初穂料を包むのし袋にも、七五三のお祝いと同じく書き方のマナーがあります。
のし飾りの有無に注意する
神社へ御祈祷の謝礼として納める初穂料に使うのし袋では、のし飾りの有無や封筒の種類は神社によって指定が異なることがあります。事前に神社の案内を確認しておくと安心です。
水引は「紅白の蝶結び」を選ぶ
初穂料を包むのし袋は、七五三のお祝いと同じく「紅白の蝶結び」の水引を選びます。蝶結びは子どもの健やかな成長を願う七五三にふさわしい水引といえます。
表書きは「御初穂料」
のし袋の表書きは、水引の上段に「御初穂料」または「初穂料」と記入します。「御玉串料」と書いても構いません。どちらも神社へ渡す祈祷料として正式な表現です。
なお、お寺で祈祷を受ける場合は「御祈祷料」や「お布施」と書くのが一般的です。神社とお寺では表書きが異なる点に注意しましょう。毛筆または筆ペンを使い、丁寧に縦書きで記入してください。
名入れは子どものフルネームを書く
水引の下段には、誰のご祈祷なのかを明確にするため、祈祷を受ける子どもの名前をフルネームで記入します。両親の名前ではなく、子ども本人の姓名を書くのが基本です。
兄弟姉妹が同時に七五三を迎える場合は、連名で記入しても問題ありません。その際は、年齢の高い子どもを右側に書きます。
また、読み間違いを防ぐために、名前の横にふりがなを添えておくと、神職の方にもわかりやすく丁寧です。
【内祝い・お返し】内祝いののし紙の書き方
七五三のお祝いをいただいた場合、感謝の気持ちを込めてお返しを贈ることがあります。このお返しのことを「内祝い」と呼びます。
本来、七五三は身内でお祝いする行事のため、お返しは必須ではありません。しかし、近年は子どもの成長報告を兼ねて内祝いを贈る家庭も増えています。
内祝いを贈るときの、のし紙のマナーを押さえておきましょう。
表書きは「内祝」または「七五三内祝」と書く

のし紙の表書きは、水引の上段に「内祝」「七五三内祝」「御礼」のいずれかを記入します。七五三の内祝いだと伝えたい場合は「七五三内祝」と書くとわかりやすく、「御礼」はややカジュアルな印象になります。
表書きは毛筆または筆ペンを使い、縦書きで丁寧に書きます。水引は紅白の蝶結びを選び、繰り返しの慶びを表します。
名入れは子どもの名前のみを書く
水引の下段には、お祝いを受け取った子どもの下の名前だけを書きます。苗字は書かず、名前のみを書くのが一般的です。これは「子ども本人からの感謝」を表すためです。
名前の左側に年齢を小さく添える場合もあります。兄弟姉妹が同時に七五三を迎える場合は連名で記入して構いません。その際は、年齢の高い子どもを右側に書きます。
内祝いを贈る時期と金額の目安
内祝いは、お祝いをもらってから 1〜2週間以内 に贈るのが目安です。遅くとも七五三のお参り後、1か月以内には手配しておきましょう。
金額は、いただいたお祝いの 3分の1〜半額程度 が一般的です。例えば1万円のお祝いなら、3,000〜5,000円程度の品物が目安になります。
お礼状に加え、千歳飴や子どもの写真などを添えると、気持ちがより伝わりやすくなります。
「内のし」と「外のし」を使い分ける
のし紙には、商品の箱に直接かける「内のし」と、包装紙の上からかける「外のし」があります。
内祝いでは、控えめな印象になる「内のし」を選ぶことが多く、配送時にのし紙が傷みにくいというメリットもあります。一方、手渡しで贈る場合は「外のし」を選ぶことで、何のお返しかが相手に伝わりやすくなります。
贈り方や状況に合わせて、適切なのしの形式を選びましょう。
七五三のお祝い金額の相場
七五三のお祝い金の金額は、贈る相手との関係によって相場が変わります。祖父母から孫へ贈る場合が最も高額になりやすく、親戚・友人へと関係が遠くなるほど、金額は控えめになる傾向があります。
祖父母
祖父母から孫へ贈るお祝い金の相場は、1万円から数万円です。金額に幅がある理由は、お祝い金とは別に衣装代や写真撮影代を負担するケースと、お祝い金だけを贈るケースがあるためです。
衣装代や写真代を負担する場合は1万円前後、お祝い金のみを贈る場合は3万〜5万円ほどが一般的です。また、食事会の費用を祖父母が負担することもあります。孫の成長を祝う特別な行事として、比較的高額になることが多い傾向です。
親戚(叔父・叔母など)
親戚からお祝い金を贈る場合の相場は、5,000円〜1万円です。叔父や叔母など、親しい関係であれば1万円ほど贈ることが多いですが、5,000円でも失礼にはあたりません。
また、親戚の場合はお祝い金ではなく、絵本・おもちゃ・お菓子など子どもが喜ぶ品物を贈るケースもあります。
友人・知人
友人や知人の子どもに贈るお祝い金の相場は、3,000円〜5,000円です。親しい友人であれば5,000円程度が一般的ですが、3,000円でも気持ちのこもったお祝いとして問題ありません。
関係性によっては、お祝いの言葉を伝えるだけでも十分です。金銭的なお祝いを渡すことで相手が気をつかう場合もあるため、無理のない範囲で判断しましょう。品物を贈る場合も、この金額を目安に選ぶとよいでしょう。
七五三ののしマナーを押さえて心のこもったお祝いを贈ろう
七五三では、お祝いを贈る場合、神社へ納める初穂料、内祝いのお返しなど、場面によってのし紙の書き方が異なります。共通しているのは、どの場合も「紅白の蝶結び」の水引を使うことです。
七五三は子どもの成長を祝う大切な節目の日です。のしのマナーを正しく押さえておくことで、相手に丁寧な気持ちを伝えることができます。正しい知識を持ち、心のこもったお祝いやお返しを贈りましょう。