束ね熨斗(たばねのし)とは?意味・由来と振袖など着物の柄に使われる例
WANTO編集部束ね熨斗(たばねのし)は、何本もの熨斗を束ねた形と、その形を図案にした文様のことです。「束熨斗」とも書きます。熨斗はもともと、あわびを薄く伸ばして干した「のし鮑」のことで、祝いの贈り物に添える縁起物でした。(参考:コトバンク:束熨斗(精選版 日本国語大辞典)、高島屋:熨斗(のし))
束ね熨斗の文様は、着物の柄として古くから使われてきました。京都国立博物館が紹介する江戸時代(18世紀)の振袖(重要文化財)は、金の紐で束ねた色とりどりの熨斗が肩から全体に広がる意匠です。婚礼衣装として誂えられたものとみられています。(参考:京都国立博物館:束熨斗文様振袖)
束ね熨斗の要点
- 読み方:たばねのし(束熨斗とも書く)
- 形:細長い熨斗を何本も束ねた形。文様や家紋の図案にも使われる
- 由来:熨斗は「のし鮑」の略で、祝いの贈り物に添える縁起物
- 使われ方:振袖など着物の柄として知られ、江戸時代の作品が残る
- 贈り物ののし紙の右上に付ける「のし」とは別のもの
束ね熨斗(たばねのし)とは
精選版 日本国語大辞典は、束熨斗(たばねのし)を「熨斗を束ねたもの」と、それを模様にしたもの・図案にした紋所の2つの意味で説明しています。江戸時代の浄瑠璃にも、束ねた熨斗が祝いの場の品として、また衣装の柄として登場します。(参考:コトバンク:束熨斗(精選版 日本国語大辞典))

束ねた一本一本の熨斗には、別の柄が描き込まれることがあります。先に紹介した京都国立博物館の振袖では、熨斗の一筋ごとに鳳凰・松竹梅・菊・宝尽くしなどの縁起のよい文様(吉祥文様)が詰められています。(参考:京都国立博物館:束熨斗文様振袖)
もとになった「熨斗(のし)」とは
「のし」は「のし鮑(あわび)」の略です。高島屋の解説によると、贈り物に熨斗を付けるのは、品物がけがれていないしるしに生ぐさもの(魚や肉)を添えたのが始まりで、あわびは貴重な食材で不老長寿の象徴とされてきました。「引き伸ばす」という意味から、お祝いだけでなく一般の贈り物にも広く使われるようになったと説明されています。(参考:高島屋:熨斗(のし))
今の贈り物では、紅白の紙を折った「折り熨斗」や、それを印刷したのし紙が使われます。折り熨斗の中に包まれた細い黄色の紙が、本来ののし鮑を表しています。(参考:高島屋:熨斗(のし))
束ね熨斗の意味
束ね熨斗のもとになった熨斗は、祝いの贈り物に添える縁起物で、長寿の象徴とされたあわびに由来します。束ね熨斗は、その熨斗を何本も束ねて華やかにした形です。(参考:高島屋:熨斗(のし)、コトバンク:束熨斗(精選版 日本国語大辞典))
京都国立博物館は、束ね熨斗の振袖について、嫁ぎ先に熨斗を付けて娘を送り出すという趣向だろうと解説しています。お祝いの気持ちを、贈り物に添える熨斗の形で表した柄といえます。(参考:京都国立博物館:束熨斗文様振袖)
ポイント
「多くの人からの祝福」「人と人との絆」などと、束ね熨斗の意味を説明する解説もあります。ただ、辞典や博物館の資料で確かめられるのは、熨斗を束ねた形の文様であることと、婚礼衣装などの祝いの柄に使われた例までです。決まった意味として言い切らず、「熨斗を束ねた、縁起のよい柄」と理解しておくと間違いがありません。
束ね熨斗が使われる場面
振袖など着物の柄
束ね熨斗は、着物の柄としてよく知られています。京都国立博物館の振袖は江戸時代18世紀のもので、富裕な町人が婚礼衣装として誂えたとみられています。江戸時代の浄瑠璃にも、肩から裾まで束ね熨斗の柄にした衣装が登場します。(参考:京都国立博物館:束熨斗文様振袖、コトバンク:束熨斗(精選版 日本国語大辞典))
束ね熨斗の柄の着物を着る場面や季節に決まりがあるかは、着物の格や柄全体によって変わります。気になるときは、着物の専門店に確かめると安心です。
家紋の図案
日本国語大辞典は、束ね熨斗を図案にした紋所(家紋)があることも挙げています。(参考:コトバンク:束熨斗(精選版 日本国語大辞典))
贈り物に付ける「のし」との違い
束ね熨斗は柄の名前で、贈り物に掛けるのし紙の右上に付ける「のし」とは別のものです。のし紙の右上ののしには、宝づくしや飾り熨斗、両折り・片折りなどの種類がありますが、高島屋はどの場面にどれを使うかの決まりは特にないとしています。(参考:高島屋:熨斗(のし))
贈り物にのしを付けるときに迷いやすいのは、柄よりも、水引の結び方(蝶結びか結び切りか)、表書き、内のし・外のしの選び方です。弔事(仏式)の贈り物には、のしを付けません。(参考:高島屋:熨斗(のし))
のしの基本(内のし・外のし、水引、表書き)と場面別の書き方は「のし(熨斗)の書き方・マナーまとめ」で一覧できます。
