短冊のしとは?失礼にならない使い分けと貼り方・書き方の基本

短冊のしとは?失礼にならない使い分けと貼り方・書き方の基本

WANTO編集部

贈り物を選ぶ際に、「エコ包装のため『短冊のし』でお届けします」という案内を目にする機会が増えています。

一方で、 「通常ののし紙とは何が違うのか」 「目上の人に贈る場合でも、短冊のしで失礼にあたらないのか」 といった点に、不安や疑問を感じる方も少なくありません。

短冊のしは、見た目が簡素である分、使い方を誤ると相手に誤解を与えてしまう可能性もあります。そのため、形式の違いや適切な使い分けを理解しておくことが大切です。

本記事では、「短冊のし」の基本的な意味や通常ののし紙との違いを整理したうえで、慶事・弔事それぞれにおける使い分けの考え方、貼り方や書き方のポイントをわかりやすく解説します。

短冊のしとは?のし紙との違いを理解しよう

短冊のしとは、のし紙を短冊状に細長く簡略化した掛け紙のことです。別名「札紙(ふだし)」と呼ばれることもあります。

用途に応じて、以下のように使いわけます。

  • 熨斗(のし)マークが入ったもの(慶事用)
  • 熨斗マークのないもの(弔事用)

通常ののし紙は、品物の箱全体を覆うように掛けて使用しますが、短冊のしは箱の右上に糊や両面テープなどで貼り付けるのが特長です。

あくまで略式(簡易包装)の形式であるため、親しい間柄への贈り物や、例えばお中元やお歳暮などで多く用いられています。

近年では、使用する紙の量を抑えられることから、環境配慮(エコ包装)の観点で短冊のしを採用する百貨店やECサイトも増えています。また、箱が極端に小さい場合や、特殊な形状で通常ののし紙が掛けられない場合にも、短冊のしが選ばれることがあります。

のし紙・掛け紙・短冊のしの違い

短冊熨斗

ギフトの包装にはいくつかの種類がありますが、混同しやすい「のし紙」「掛け紙」「短冊のし」の違いを整理しておきましょう。

「のし紙」「掛け紙」「短冊のし」の違い
名称 用途
のし紙 熨斗(のし)マークと水引が印刷された掛け紙。主に結婚祝いや内祝いなど、慶事全般に用いられます。
掛け紙 水引のみが印刷され、熨斗マークのないもの。主に葬儀や法要などの弔事に使用されます。
※本来は包装紙全般を指す言葉ですが、現在は「弔事用の熨斗なし紙」を指すことが多くなっています。
短冊のし のし紙や掛け紙を短冊状にした略式の掛け紙。慶事用・弔事用の両方があります。

短冊のしは失礼にあたる?

「簡易的な形式だから、相手に失礼にあたらないのか」と不安に感じる方も少なくありませんが、短冊のし自体がマナー違反になることはありません。

ただし、短冊のしはあくまで略式(簡易的な掛け紙)である点は押さえておく必要があります。

通常ののし紙と比べると、形式として簡素な印象を与える場合があるため、贈る相手との関係性や、贈答の目的・重要度によっては、正式なのし紙を選んだほうが安心な場面もあります。

失礼と受け取られやすいケース

短冊のしは略式であるため、形式や礼儀を重んじる場面では、通常ののし紙を選ぶほうが無難です。特に、以下のようなケースでは注意が必要です。

1.目上の方への改まった贈り物

職場の上司や恩師など、目上の方への贈答では、短冊のしが「簡略化された形式」と受け取られる可能性があります。丁寧さを重視したい場合は、正式なのし紙を選ぶと安心です。

2.格式を重んじる重要な慶事

結婚祝いやそのお返しなど、人生の節目となる重要なお祝い事では、通常ののし紙のほうが、贈り物としての格や重みが伝わりやすくなります。

3.通常ののし紙が使える大きな品物

箱に十分な大きさがあるにもかかわらず短冊のしを用いると、見た目のバランスが崩れ、簡素な印象になることがあります。包装全体の見栄えを考える場合は、のし紙が適しています。

短冊のしを使用しても問題になりにくいケース

一方で、次のような場面では、短冊のしを選んでも一般的に問題とされることはありません。

1.品物の形状やサイズによる制約がある

箱が小さい、薄い、円柱形など、通常ののし紙を掛けるのが難しい場合には、短冊のしが実用的な選択肢となります。

2.簡略化や控えめな配慮が求められる場合

近年では、百貨店のお中元・お歳暮において、環境配慮の観点から短冊のしが標準とされるケースも増えています。また、形式ばらない「ちょっとしたお礼」などにも適しています。

3.相手との関係性が親しい場合

友人や同僚、家族など、気心の知れた相手への贈り物であれば、形式に過度にこだわる必要はありません。短冊のしでも、気持ちは十分に伝わります。

短冊のしの正しい貼り方

短冊のしは、品物全体を包み込む通常ののし紙とは異なり、箱や包装紙の一部に貼り付けて使用する略式の形式です。

そのため、「どの位置に貼るか」が見た目や印象を左右する重要なポイントになります。慶事・弔事で貼る位置の考え方が異なるため、それぞれの基本を確認しておきましょう。

慶事(お祝い・一般贈答)の場合は右上に貼る

短冊のしの正しい貼り方-慶事(お祝い・一般贈答)

お中元やお歳暮、内祝いなど、一般的なお祝い事や贈答に用いる場合は、品物を正面から見て右上に貼るのが基本です。

これは、通常ののし紙において熨斗(のし飾り)が配置される位置が右上であることになぞらえたものです。短冊のしも同様に、熨斗の位置を意識して右上に寄せて貼ると、違和感のない見た目になります。

貼り付ける際は、紙が波打つのを防ぐため、全面に糊をつけるのではなく、上部のみ、または上下の端だけを軽く留めると、きれいに仕上がります。

弔事(お悔やみ)の場合は左上に貼る

短冊のしの正しい貼り方-弔事(お悔やみ)

香典返しなどの弔事には、熨斗(のし飾り)の付いていない弔事用の短冊(札紙)を使用します。

貼る位置については、一般的に慶事とは逆の「左上」とされることが多く、これは「祝意を示す位置を避ける」という考え方に基づいています。

ただし、実務上は地域や販売店の慣習による差もあり、関東などでは弔事であっても右上に貼るケースが見られることもあります。案内状や店舗側の指定がある場合は、それに従うのがもっとも無難です。

なお、弔事用の短冊には熨斗(のし飾り)は描かれていませんが、形状が短冊型であるため、慣用的に「短冊のし」と呼ばれることがあります。

短冊のしの書き方のマナー

短冊のしの書き方は、基本的な考え方は通常の熨斗紙と共通しています。ただし、短冊は幅が限られているため、文字数や配置に配慮する必要がある点が特徴です。

ここでは、表書きと名前の書き方について、短冊のしに適した形で整理します。

表書きの書き方

短冊熨斗-表書き

表書き(おもてがき)とは、水引の上部中央に記す、贈り物の目的を示す言葉です。短冊のしでも、配置や意味は通常の熨斗紙と変わりません。

<代表的な表書き>

季節の挨拶 御中元/御歳暮/御年賀
お祝い・お礼 御祝/内祝/御礼/粗品
弔事(※) 御供/志

※弔事の場合は、熨斗マークのない「弔事用短冊」を使用します。

文字は、濃い黒色の筆ペンまたは毛筆で書くのが基本です。ボールペンや万年筆は略式に見えるため、避けたほうが無難でしょう。崩しすぎず、読みやすい楷書で整えることが大切です。

なお、弔事の場合は薄墨を用いるのが正式とされています。

名前の書き方

短冊熨斗-名前の書き方

贈り主の名前は、水引の下部中央に記します。表書きよりもやや小さめの文字で書くと、全体のバランスが整います。

個人名の場合

原則としてフルネームで書きます。ただし、目下の方への贈り物やカジュアルな場面では、姓のみでも差し支えありません。

連名の場合(夫婦や職場など)

年齢や職位が高い人を一番右に書き、順に左へ並べます。夫婦連名の場合は、右に夫のフルネーム、左に妻の名前のみを書く形が一般的です。

人数

短冊のしは横幅が限られるため、連名は2〜3名までが目安です。 4名以上になる場合は、代表者名を中央に書き、その左側に「外一同」と添えます。

全員の名前は、別紙(中包みやメッセージカード)に記載して同封すると、より丁寧な印象になります。

会社名や肩書きを入れる場合

会社名や肩書きは、名前の右上に、名前よりも小さな文字で書き添えます。

短冊のしを正しく使って、自信を持って贈り物を

短冊のしは、のし紙を簡略化した形式ではありますが、使い方を誤らなければ失礼にあたるものではありません。近年では、環境配慮や配送事情の観点から、百貨店やECサイトでも一般的に用いられています。

大切なのは、「短冊のしが適しているかどうか」を、贈る相手との関係性や贈答の目的に照らして判断することです。

目上の方への改まった贈り物や格式を重んじる場面では正式なのし紙を、親しい相手へのギフトや簡略化が望ましい場合には短冊のしを選ぶなど、状況に応じて使い分けることが、結果的に相手への配慮につながります。

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